「ホームページは2〜3年でリニューアルすべき」という話をよく聞きますが、年数でリニューアルの判断をする必要はありません。その期間でリニューアルするべき理由が蓄積されることが多いというだけで、サイトの状態や目的に応じて判断することが重要です。また、サイトの規模によってはリニューアルに相当な工数がかかることがあるため、費用対効果を考慮すると、全面リニューアルではなく部分的な改修で対応できることも十分にありえます。そこで、この記事ではリニューアルの判断基準を考えてみました。

リニューアルが必要なサイトの特徴

CMSの導入・変更・廃止

最も大きなリニューアル理由はCMS(コンテンツ管理システム)の導入・変更・廃止が挙げられます。例えばWordPressから別のCMSに乗り換える場合、静的サイトをWordPressに移行する場合はリニューアルが必要でしょう。逆に、不要になったCMSをやめて静的サイトにするというケースもありえるかと思います。CMSの変更はサイトの根幹に関わる部分のため、これは非常に明確なリニューアル理由となります。

複合的な問題が重なっている

リニューアルが本当に必要になるのは、単一の問題ではなく、複数の問題が重なっている場合です。サイト内の導線が整理されていない、コンテンツが分散している、新しく掲載したい情報が多数ある、更新作業がしづらい構造になっている、お問い合わせが増えない、などといった問題が2〜3個以上重なっている場合は、部分的な改善よりも全面リニューアルしてしまった方が色んな問題を一気に解決できることがあります。

また、サイト規模が大きくない場合は、細かな修正を繰り返すより、リニューアルした方が早いという場合もあります。現在の状況だけでなく、数年先のことも見据えた判断も必要です。

デザインが古い・見た目の印象が良くない

昨今のマーケティング業界では「デザイン変更が主体のリニューアルは意味がない」という声も聞かれますが、デザイン自体のリニューアルも全く意味がない訳ではありません。

「Webサイトはコンテンツが重要」という考えは正しいのですが、コンテンツにたどり着く前に見た目の印象だけでユーザーが離脱することもあります。エンドユーザーが見た時に「古い感じがする」「なんだか見た目の印象があまり良くない」と思われてしまうのは、ブランディング面でもマーケティング面でもマイナス評価になってしまいます。

アニメーションを多用した派手なサイトが必要な訳ではありませんが、違和感のない、現代的な雰囲気のサイトにすることは価値があります。10年前のデザインを今の時代に合わせた見栄えにしたい、というのは十分なリニューアル理由になります。

「かっこいいサイト」にしたい

アニメーションや派手な演出を使ったかっこいいサイトは、エンタメ系サイト以外ではユーザーに求められていないかもしれません。しかし、BtoB企業でもブランディングの一環として「かっこいい」ことが競合との区別化になることもあるでしょう。また、依頼してくれた企業の社長や社員が「うちの会社のサイト、すごくいい!」と高揚するのであれば、それは非常にポジティブな理由としてリニューアルの理由として成立するのではないでしょうか。

スマートフォンに対応していない

昨今ではもうスマートフォンに対応していないサイトはあまり見なくなりましたが、昔に制作されたままのサイトはスマートフォンに対応していないので、PCサイトがそのまま表示されてしまいます。現代ではスマホで快適に閲覧できることが必須ですので改善が必要となります。厳密に言えば、リニューアルではなくレスポンシブデザインにするだけでも対応可能なのですが、それだけ昔のサイトなら他の問題もあるはずなので、やはりリニューアルが最適でしょう。

リニューアルしなくても改善で対応できるサイトの特徴

お問い合わせを増やしたい

「お問い合わせを増やしたい」「サイトの成果が出ない」という理由の場合、リニューアルが必須と考える人も少なくありませんが、最適解とは限りません。特に費用対効果の問題となります。長年運営してきたサイトのリニューアルには相応の時間とコストがかかります。そのコストに見合う効果を出せるかは慎重に判断する必要があります。お問い合わせを増やすこと以外に不満がない状態であれば、すぐにリニューアルよりも、まずは分析、競合調査、コンテンツの追加や編集から始めることをおすすめします。同様に事業内容が変わった場合も、コンテンツの追加で対応できる場合があるかと思います。

環境が古い

WordPress本体のバージョンが古い、プラグインがアップデートされていない、PHPが少し古いバージョンである、などのケースはそれぞれアップデートで対応すればリニューアルまでは必要ありません。SSL化されていない、Google Analyticsが導入されていないなどの場合も同様に、設定・導入すればすむ話です。サイト以外の環境面では適切な対応をすることで解決できることが多いでしょう。

リニューアルと改善を並行する

リニューアルしたいけれど、現状も少し改善したい、リニューアルまでの間も少しでも効果を出したい、といった場合、リニューアルと現状サイト改善を並行して進める、という手法もあります。現状サイトでコンテンツ編集や追加を行いながら、リニューアルの計画も取り掛かる、という同時進行の取り組み方になります。このアプローチには大きなメリットがあります。リニューアルしている間も現行サイトを強化して成果を伸ばすことができますし、改善に取り組む中で新たな課題が見つかることもあります。また、既存サイトをテコ入れした結果「リニューアルしなくてもいい」という判断になることもありえます。

リニューアルは目的ではなく手段

ホームページのリニューアルは、あくまで目的を達成するための手段です。「数年経ったから」といった理由ではなく、現行サイトに何が足りないのか、何を改善すれば目的を達成できるのかを整理することが第一歩です。リニューアルを前提にするのではなく、目的の明確化と現状改善の検討から始めることをおすすめします。