このブログはPodcastで話した「BtoB企業ができるブランディングの方法」を自動文字起こしして、自分自身で加筆修正したものです。どうぞよろしくお願いいたします。

BtoB中小企業のブランディングの事例は少ない?

通常、書籍などでブランディングの事例を見ると、BtoCのケースが多く取り上げられます。BtoBの場合だと大手企業の事例が多く、このようなケースでは、様々な手法で広告を展開し、多くの媒体に露出させる方法が紹介されており、中小企業にとっては真似しづらいケーススタディとなっています。

ここでは、大きな予算をかけられない企業のためのブランディング手法について、弊社の実践を踏まえて考えていきたいと思います。

まず、ブランディングを行う際には、最初に調査や分析を行い、方向性及びその企業の強みを見つける必要があります。その強みを社会に向けて提示し、サービスを強化する方向性を確定させます。ブランディングには、社内向けと社外向けの考え方がありますが、まずはインナーブランディング、つまり社内で共通の認識を確立することが重要です。特に、これまでブランディングを行ってこなかった会社の場合は、まず社内向けの取り組みが必要です。

社内向けのインナーブランディング

社内向けのブランディングが重要な理由は、社長だけがブランドを意識できたとしても社員に浸透していなければ、対外的アピールも難しくなるからです。実際に仕事をするのは社員であり、社長だけがブランディングについて考えていても、全員が同じ方向を向いていなければなりません。全員が共通の認識を持つことが、ブランディングの成功に繋がると考えられます。

重要なポイントは、情報を徐々に浸透させていくことです。スタート地点として現在の取り組みを説明し、それを徐々に拡大していくことで伝播させていきます。説明して終わり、だと写真もすぐに忘れてしまいます。また、社員が常時アクセスできる環境に資料を整えることも重要です。社内報や小さな冊子などの社内向けブランディングツールを作成することが一般的ですが、紙媒体の場合はアップデートが難しいため、最初の段階では変更が頻繁に行われる可能性があるため、変更可能な形式のツール(内部向けサイトなどの活用)が望ましいです。

土台が整ったら、物理的な形にして共有することも有効です。積み重ねて形を作り上げ、社内で共有することは非常に有益です。このような方法で、社内向けの共有を行いながら進めていきましょう。

社外向けのアウターブランディング

社外向けへは、どのような手段で伝播させていくかが重要になりますので、マーケティングも含まれた話になります。インターネット上でできるアウターブランディングの種類としては、Webサイトやブログ、TwitterなどのSNS、YouTube、Podcastなどがあります。軸とすべきはやはりコーポレートサイトで、そこにコンテンツを集約させ、ドメインを強くし、マーケティングを兼ねながら展開させていきます。

ブランディングに取り組む前にコーポレートサイトがすでに存在しているかと思いますが、ブランディングの方向性が定まった後、現在の自社サイトの内容とブランディングの方向性がズレている可能性があります。内容を大幅に刷新する必要があったり、予算が十分にある場合を除き、まずは文章のみを書き換えていくことを推奨します。

文章の差し替えであれば、Webサイト自体を大きく変更せずに済みます。トップページや会社の特徴やサービス内容のページなど、ブランディングに関連する部分を重点的に書き換えることができます。CMS(コンテンツ管理システム)を利用している場合は、テキストの差し替えは比較的容易なはずです。また、外部の制作会社に依頼する場合でも、そこまでの費用にはならないでしょう。内容を大幅に刷新してリニューアルする必要がある場合でも、リニューアル自体に数ヶ月はかかってしまいますので、短期的に現行サイトの手直しを行っておくのも今後の指針にもなるので有効です。

SNSの活用

SNSを活用する場合、BtoBの会社であれば X(Twitter)は必須と考えられます。社長やマーケティング担当者が公式に社名や実名でTwitterを運営し、会社の情報や考えを発信し、フォロワーを増やしていくことが重要です。ただし、Twitterを初めて利用する場合はリスキーな面もあるため、日常的に使っている方がSNS担当をすると良いでしょう。

SNS上での活動では、会社や個人の責任感や配慮が求められます。自由な意見を述べることは許されますが、関係者や他の人々に対して配慮し、責任を持って行動することが重要です。かといって、穏便に穏便に当たり障りのないツイートしていると、面白みもなくファンも増えづらいと思います。トゲのある発言をする必要はありませんが、真っ当な意見をまっすぐに発信することは重要です。その結果、自分と価値観が近いと感じる人との人間関係がスムーズに進むようになれば理想かと思います。

Twitterを活用する際は、色々な価値観の人に見られていることを意識しつつ、自分の言葉で発信することが重要です。そして、仕事の話を中心にしてきちんと取り組むことも大切です。自己表現と仕事の話を組み合わせて、Twitterを有意義に活用することが求められます。

X(Twitter)以外のSNSや情報発信について

InstagramはBtoBの場合、相性があまり良くないかもしれません。Instagramは写真やビジュアルに重点を置いたSNSですので、BtoCの場合、例えば洋服店飲食店などの視覚的な商品を訴求する際には相性が良いですが、BtoBではビジュアルで訴求する商品やサービスは少ない傾向にあります。ただ、業種やアプローチ次第では、Instagramを活用することで区別化を図ることもできるかもしれませんので、類似企業を調査するとよいでしょう。

Facebookは、年齢層が高いターゲットを中心にしている場合に有効だと考えます。若い世代を対象にしたサービスの場合、Facebookを利用しなくても問題ありません。若い人々はFacebookアカウントを持っておらず、あまり利用していない傾向があるからです。

結論としては、BtoBの場合、まずTwitterを中心に活用して、あとはFacebookやInstagramは必要に応じて利用していく方針が最適かと思います。

YouTubeはブランディングツールとしてもマーケティングツールとしても非常に有効な手法だと思います。ただし、発信する内容が同業向けになると、ユーザーやファンの数が増えても顧客の数が増えるわけではありません。同業向けのコンテンツは作りやすい傾向にありますが、顧客を結びつけたい場合には遠回りになる可能性があります。長期的な視点で見れば有効なアプローチとなるかもしれませんが、お客様にとってのコンテンツを提供するためには戦略を練る必要があります。

TwitterやYouTube、Podcastなどのフォロワーや登録者数が伸びないというのはよくあることです。初めのうちはそれを気にしても仕方ありません。いいコンテンツを作る、顧客の役に立つ情報を発信することが重要です。ただ、有用な情報発信をしていてもフォロワー数が増える訳ではありませんので、その施策も必要になります。フォロワー数を増やす、有用な情報を発信する、とSNS運用はとても手間がかかりますので、Webサイトの方にコンテンツを残す、SNSで告知する、フォロワーを増やす施策は重要度を下げる、くらいの運用が現実的です。

ブランディングのまとめ

書籍もWebサイトでも、BtoB中小企業のブランディング事例は極端に少ないです。指針になるべきものがほとんどないので、トライアンドエラーで進める他ないかと思います。戦略立ててまずは実行、そして振り返って修正する、を繰り返すべきです。やってみて初めて見えてくる課題は多いので、そこでまた道が開けるかと思います。弊社ではBtoB中小企業のブランディング支援サービスを行っていますので、お気軽にご相談いただければと思います。