今回は趣味の話で、セレクトショップのWebマーケティングについてです。私は洋服や靴が好きなので、仕事と関係なく、普段から各ショップのInstagramやECサイトを眺めています。そうしていると、多くの店舗でだいたい同じような戦術をとっていることが見えてきました。Web制作サイドの意見というより、ほぼユーザー視線ですが、男性用セレクトショップのWebを活用した集客方法をまとめたいと思います。

InstagramとブログとECサイト

結論から言いますと、Instagramでファンを増やし、細かいキーワードで探してくるユーザーをブログで受け止めて、ECサイトに繋げる、という形がセレクトショップが行なっているWeb戦術の一つのスタンダードです。以降で細かく説明していきます。

Instagramが一番大事なツール

まずはInstagram。洋服店にとっては一番重要なツールです。Instagramをきちんと運用できていれば、他は不要と言っても過言ではありません。洋服を見せるツールとして向いていること、ユーザー側としても横断的に好きなものを閲覧できるツールで、どちらにとっても最適なため、ほとんど多くのショップが活用しています。実際の使い方事例を見てみましょう。

入荷商品の紹介

どのお店でも一番よく投稿されているのが入荷商品の紹介です。ブランド名やジャンルなどのタグをつけるのが一般的です。引きの写真、部分的にアップした写真などを一つの投稿にしておくと、ユーザーにとって見やすいですね。同じ商品でも「商品単体の写真とその情報」「実際に着たスタイリングの写真」で二つ投稿しているのもよく見られます。

画像引用元:PROPS-STORE Instagram

サイズ感の紹介

ECサイトで商品を買う場合、ユーザーが番気になるのはサイズ感です。ほとんどのECサイトでは、身幅や着丈など採寸がサイズごとに記載されているので、それを頼りに購入できますが「人が着たらどんな感じになるのか」という見た目の情報もユーザーは知りたいのです。ですので、店舗のスタッフが実際に着用して写真を投稿するとユーザーに喜ばれます。その際、モデルの身長と体重、可能ならそのモデルがMサイズを着た時、Lサイズを着た時の写真があると尚分かりやすくてよいです。

引用元:the Apartment Instagram

動画で正面や横、歩いてる様子を紹介

より詳細に伝えたい場合は動画も有効です。着用イメージを伝えるには、一枚絵より動画で歩いてる様子や、向きを変えたスタイリングを見せる方がより訴求できます。サイズ感も写真より伝わりますし、細部や雰囲気も伝えることが可能です。スマホで撮影してInstagramで投稿したり、Youtubeに投稿してブログに貼り付ける手法があります。その際は、一アイテム一動画で短くした方がユーザーに好まれると思われます。

引用元:ALTERFATE

Instagramで来店者紹介

事例はあまり多くありませんが、Instagramで来店者を紹介するお店もあります。これは「自分がよくいくお店であれば、知ってる人が出ていないか見てしまう」「他のお客さんの着こなしが見れる」「自分も撮ってもらいたいから行きたい」というアクションに繋がる利点があります。実際に来店者紹介をされているInstagramを遡って見ていると「Instagramを見て来店した」というユーザーがとても多いことが分かります。商品紹介以外で集客できる好例です。

画像引用元:SMOKY Instagram

ブログでメーカー名や商品名などを細かく書いて紹介

Instagramで商品紹介するのであれば、ブログはやらなくて良さそうな気はしますが、流入が違いますので、ブログもきちんと取り組むべきでしょう。Instagramは写真と簡単なコメントがあれば十分機能しますが、ブログでは詳細情報をきちんと載せておく必要があります。ブランド名、発売日、シーズン(2020SS など)、商品名、色、素材、品番などです。ブランドからの公式コメントや、お店のレビューもあると尚良いと思います。「過去の商品をブランド名とシーズンで検索して探す」「ブランド名と品番で着画イメージを探す」といったことが考えられますので、掲載できる情報はすべて記載しておきましょう。

ブログとECサイトを兼ねてもよいかどうか

特定のキーワードで検索してきたユーザーがお店のサイトにたどり着いてもらえればよいので、情報をたくさん書くところはブログではなく、ECサイトの商品詳細ページに載せてブログはなし、という構成も考えられます。ただ、検索対策のために、すでに売り切れている過去商品もページとして残しておく必要があります。そうしますと、ECサイトとしては直近の商品はともかく、数シーズン前の完売商品を載せておくのは「ECサイトとして見づらくなる」デメリットが大きいので、ブログとECサイトは分けておく方が無難でしょう。

ECサイトは自社サイト内がオススメ

ECサイトは自社サイトの中で構築するのがオススメです。楽天などのショッピングモールだと月額出店料とシステム利用料が発生するので、基本的にはセレクトショップには不向きかと思います。ネットショップ作成サービスであるカラーミーショップや、EC-CUBEなどのパッケージを使って構築するのが一般的です。簡単にネットショップが作れる、というSTORES.jpなどのサービスもここ数年で増えてきました。ちなみに、ブログは流入が機能すればよいので、ブログ自体は独自ドメインでなくても、外部サービスのブログを使っても大丈夫です(ブログサービスは停止する可能性もあるので、そこは唯一のデメリットになりますが)。

ECサイトのデザインはテンプレートでも十分

セレクトショップの場合、大半のユーザーはWebサイトのデザインを見ていないので、テンプレートでも十分です。シンプルな見栄え、分かりやすい設計でデザインされていれば、外側にこだわる必要はありません。そこに注力する工数はInstagramとブログ運用にかけた方が効率的です。

ブランドサイトとは役割が違う

逆にブランド自体のWebサイトであれば印象はとても重要なので、Webサイトのデザインには力をいれるべきです。LOOK BOOKは雰囲気が重要なので、サイズや素材などの情報も必須ではなく、多少Webサイトが扱いづらくても、そのブランドが持つ雰囲気を伝えることも重要になります。ただ、ここ1〜2年では、ブランドサイトも公式ECサイトを自社内で持って「シンプルな見栄えで分かりやすい設計」というWebサイトが目立ち始めていますので、今後はブランドもショップもWebサイト上では似たような思想になっていくのかもしれません。

Twitterは必須ではない

Instagram以外だとTwitterが使われている印象がありますが、必須というほどではありません。活用次第ですが、Instagramだと数万単位のフォロワーがいても、Twitterだと1000フォロワーくらいになるアカウントが珍しくありません。Instagramとまったく同じ情報をTwitterで流したり、Instagramのリンクだけ投稿するケースが多いですが、それであればInstagramだけで十分かと思われます。

そのような中、目黒区にある1LDKさんはTwitterも16,000人フォロワーがいます。投稿も同じ内容ではなくて、個別に異なる情報を配信しています。同じ商品の紹介でも使う写真を違ったり、文章も別々に書き分けています。こうなると、両方をフォローするメリットがありますので、どちらのフォロワーも増えていくのだと思います。ただし、運用コストがその分かかるので体制次第では両運用は難しいと思います。

画像引用元:1LDK

Facebookはなくていい

Facebookはなくて構いません。アカウントを持っているだけ、ブログのリンクを貼り付けるだけのショップがほとんどです。Twitterもうまく運用している1LDKさんでも、InstagramとTwitterよりアカウント数が明確に少なく、セレクトショップでのFacebook運用の難しさが想像できます。ユーザー層、見やすさ、滞在時間、などの影響もあるのか、Instagramが存在する以上、Facebookは向いていないのかもしれません。

メルマガは有効

古いツールだと思われがちですが、メルマガはまだまだ有効な手段だと思います。関心があって登録しているユーザーばかりですので、開封率も低くないはずです。メルマガの頻度が多いと情報も薄まり、ユーザーが離れる原因になりますので、月に一度か、数ヶ月に一度くらいで、セール情報や目玉商品の案内など、ユーザーにとって有益な情報が必ず届く、という構成がよいでしょう。

まとめ

通販ももちろん大事だけど、実際にお店に来て欲しいと思っているショップが大半です。来店してくれる方にしても、ネットからのお客様にしても、お店のファンを増やすことが重要です。お店を好きになってくれると、そのお店が扱う商品やブランドも信頼してもらえるようになってお客様の好きなブランド以外も買ってくれたり、他店でも販売している商品もそのお店で買ってくれたりしますので、ファン作りはとても大事です。個人的には、好きなお店が増えたり、知らないお店を発見するのはとても楽しいので、今後も色んなお店が情報発信してくれると嬉しいです。