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Webデザインのレビューで見るべき5つの視点

Webデザインのレビューで見るべき5つの視点

Webデザインのレビューは明確であるべきです。「ちょっとバランスがよくないかも」といった曖昧なレビューはあまりよくありません。見た目の良し悪しだけにとらわれず、Webデザインを「デザインの方向性」「デザイン品質」「扱いやすさ」「要件」「目的達成」の5つの視点で見ていくと、明確なフィードバックをデザイナーに伝えることができると思います。

評価すべき5つの視点

デザインの方向性 顧客の業種や特徴、Webサイトの種類などを考慮したサイトのスタイル・世界観になっているか
デザイン品質 タイポグラフィ、スペーシング、写真やグラフィックの扱いなど、純粋に見栄えのみで美しくできているか
扱いやすさ そのWebサイトは操作しやすいか、読みやすいか、わかりやすいか
要件 ブランドイメージは踏襲できているか、顧客の要望を取り入れられているか
目的達成 そのWebサイトの目的が達成できるデザインになっているか

これらは比例するものもあり、相関性のないものもあります。例えば「見た目はとても綺麗だけど、病院のWebサイトとしては印象が暗すぎる」「分かりやすいし、目的が達成できそうなデザインだけど、文字や余白まわりは改善の余地あり」などのフィードバックがありえます。これらを正確に伝えることで、デザイナーに何が良くて何が良くないのかを共有することができます。

デザインの方向性

作ろうとしているWebサイトの種類(コーポレートサイトかECサイトかキャンペーンサイトかメディアサイトかなど)と業種から、ある程度見た目の印象やレイアウトは絞られます。「ゲーム製品のプロモーションサイトなのに装飾少なくシンプルなデザイン」「BtoBコーポレートサイトなのにファッションサイトのようなデザイン」などが悪い例です。このような例は極端ですが、書体や色使い・装飾具合など、求めているニュアンスと少し違う、ということはありえます。デザインの方向性(世界観)が異なるものが上がってきた場合は、事前に伝えきれなかったディレクターの責任が大きいので、制作前にイメージの共有をしておきましょう。

デザイン品質

タイポグラフィ、スペーシング、写真やグラフィックの扱いなど、純粋に見栄えのみの判断で美しくできているかを確認します。ここはデザイナーの力量が問われます。また、確認する側もデザイン経験がないとフィードバックしづらいところですので、実務経験がないディレクターは、国内外を問わず、Webサイトのスタンダードやトレンドを見て目を肥やしておくとよいと思います。

扱いやすさ

アクセシビリティやユーザビリティと呼ばれる項目で、そのWebサイトは扱いやすいか、分かりやすいか、読みやすいかを判断します。厳密にはHTMLでブラウザを通して最終確認するパートですが、デザイン段階でもある程度は判断できますので、コーディング前にできるところは対応しておきましょう。ただ、扱いやすさについては判断が難しく、例えば「イメージを重視したファッションメディアは本文が多少読みづらくてもよいのか」という問は最終的にはクライアント判断によりますし、程度にもよるかと思います。基本的にはWebサイトは誰にとっても扱いやすいものであるべきですが、案件次第ではアクセシビリティやユーザビリティより重要なものがあると考えていた方が柔軟に対応できそうです。

要件

ブランドガイドライン(ロゴや色などの扱いに関するルール)や、企業が希望している要件を満たしているかどうかを判断します。綺麗なデザインになっていても、ブランドカラーと異なる色を使っていたり、ブランドイメージと異なる世界観でデザインするのはよくありません。製品のプロモーションサイトやキャンペーンサイトでは特に注意が必要です。要件を満たしているかどうかも「デザインの方向性」と同じで、制作前にディレクターが要件をきちんと共有しておきましょう。

目的達成

そのWebサイトの目的が達成できそうなデザインになっているかどうかの確認です。ECサイトであれば、商品が売れるような見せ方・情報設計・購入導線を作れているか、BtoBコーポレートサイトであれば、特徴がうまく伝わるようになっているか、問い合わせの導線は分かりやすいか、といった判断を行います。最も重要な指針はこのパートだと思いますので、他が多少犠牲になっていたとしても重視すべき項目だと思います。

レビューのまとめ

これらを意識するとレビューは明確になりますし、何よりひとつひとつのレビューに理由がついてきますので、話が通じやすく、デザイナーは対応しやすくなります。逆にデザイナーもデザインを提出する際はロジックと感覚を説明すると、理解をえやすいかと思います。

UXについてはWebデザインだけの話ではないので、今回は触れていません。また、Webデザインにオリジナリティがあるか、印象に残るか、トレンドにのっているスタイルか、といった評価軸はそこまで意識する必要はないかと思います。キャンペーンサイトなどで独創的なWebサイトが多いのは、そういう要望がある・そのデザインをやることで目的達成に繋がるからです。何のためのデザインかをデザイナーは意識するとよいと思います。

レビューの仕方

蛇足ですが、私がレビューする時に気をつけているポイントは以下の通りです。

  • 良いところは褒める
  • 修正して欲しいところと検討して欲しいところを分ける
  • 変更してほしい理由を明確にする
  • いつまでに対応して欲しいかを伝える

「修正して欲しいところと検討して欲しいところを分ける」は必ず意識しています。また、いつもディレクターの指示でデザインが良くなるとは限らないので、指示通りやってダメなら意図だけ汲んで別の方法で考えてみて、という話もよくします。説明するだけではダメで、きちんと理解してもらえているかどうかが重要になります。ディレクターもデザイナーも意見をたくさん言い合って、よりよいものを作れる関係性が理想ですね。

執筆者:伊藤庄平/株式会社シロクロ代表取締役。1979年2月福岡県生まれ。2003年、熊本にてデザイン事務所ナインデザインを共同設立。上京し、2010年に株式会社シロクロを設立。社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)正会員。新宿私塾16期、文字塾3期生。著書に「いちばんよくわかるWebデザインの基本きちんと入門」(共著、2017年)。