2015年3月16日

UX向上について何をするべきか
考えてみた

アプリやWebサービスのUXを向上させるために、何をするべきかを考えてみました。UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、製品やサービスを利用して得られる体験の総体を指すので、簡単に言うと「面白かった」「楽しかった」「便利だね」などと思ってもらえるためにすべき施策を考えます。

1. サービスの特徴を一言で伝えられるようにしておく

できるだけ早い段階で考えておきたいのは、そのサービスの特徴を分かりやすくしておくことです。誰もが知るところのサービスは、そのあたりがとても明確なケースが多いです。「レシピがたくさん載っているサイト」「データを共有できるサービス」「ネット決済が簡単にできるサービス」などなど。

コンセプトが分かりやすいと、サービス自体が分かりやすい構成に近づくと思いますし、開発者はそのコンセプトを基準に機能やデザインを考えることができます。また、誰かがそのサービスを共有しようとする時に、一言で伝えやすくなるメリットがあります。同様に宣伝もしやすくなるので、トップページやランディングページの構成が楽になるはずです。

2. ターゲットを決める

そのサービスを主に使ってくれそうなターゲットを想定しておきましょう。ペルソナを利用したり、性別、年齢層、使ってくれそうなシーンを大雑把に考えておくだけでも有効だと思います。ある程度イメージしておけば、インターフェイス、文章、デザインを決める上で一つの基準になってくれます。

3. 機能をできるだけ少なくする

「サービスの特徴を一言で伝えられるようにしておく」と関連してきますが、機能はできるだけ少なく、シンプルに心がけるべきだと思います。機能が一つ増えると、ボタンや説明、画面も増えて、どんどん複雑な構成になっていきます。複雑な構成になると操作も難しくなり、特徴もブレてくるので、できることが少ない方がユーザーにとって分かりやすいサービスになります。

サービスの種類によっては、どうしても機能が多く複雑になるものもあります。そのようなケースは、デザイナーが頑張ってUIを中心にデザイン面で解決すべきでしょう。

4. 最初の導線を明確にしておく

第一印象は7秒で決まると言いますが、Webサービスやアプリもそれに近い感覚があると思います。何となく触ってみて「よく分からない」「楽しくなさそう」と思われてしまうと、その後、そのユーザーに面白い・便利と思ってもらえるコンテンツがあっても、そこまで辿り着いてもらえません。ですので、最初に見た画面からのコピーやグラフィック、導線は気をつかうべき重要な箇所だと考えます。

5. 操作しやすいようにしておく

画面遷移や入力フォームなど、できるだけサービスを扱いやすくすべきでしょう。操作がしやすい=UX向上には繋がりにくいかもしれませんが、操作がしにくいと「使いにくい」「分かりにくい」など、サービスの内容と関係ないところで、ネガティブな体験を与えてしまいます。ボタンが押しづらい、他サイトよりもスクロールが重い、文字が小さ過ぎる、などといった問題です。

6. エラーに寛容である

入力フォームが顕著ですが、何か間違った操作をしても、やり直しが容易にできる仕組みがユーザーにやさしいインターフェイスだと思います。例えば「ECサイトで商品をカートに入れて、住所などを入力した後に商品の個数を変更しようとすると、最初から住所を入力しなおさないといけない」という仕組みは、ユーザーにとって相当面倒です。そのせいで顧客を逃すこともありえます。ミスをしてもよい仕組みだと、ユーザーはストレスなく操作できると思います。

7. 細かな違和感をなくす

操作しにくい問題とは別に、何となく違和感を感じる場面があります。「少しレイアウトがずれている」「文章の改行位置がおかしい」「余白の間隔がバラバラ」「画像が少し滲んでいる」「(海外サービスに多いですが)日本語が少しおかしい、文字サイズが不自然」などです。それら一つ一つは使いにくくなる原因にはならなくても、重なってくると、徐々に雑な印象を受けることがあり、UX向上の妨げになってしまいます。

8. 検証と改修を繰り返す

最後は、これらの課題を繰り返し検証し、改修していくことだと思います。開発中には気づかず、運営していく上で課題はたくさん出てくるので、根気よく対応していくことがUX向上に繋がるのだと思います。実際には、UXデザイナー(あるいはディレクター)と開発者のコミュニケーションがうまくいかないと問題を放置していくことにもなるので、仕組み化することが大事だと考えています。

まとめ

サービスが持つ本質の楽しさと、そのサービスを最大限利用してもらえるためのインターフェイス、そして細かいところでネガティブな印象を与えない施策が重要なのだと思います。また、ほとんどのプロジェクトには予算と納期があるので、現実的にどこまでできるかは工数と相談するしかありません。それでもディレクターや開発者のUXに対する知見が増えていけば、UXを特に意識しなくても、普段行う作業で良いものができるのではと思います。

執筆者:伊藤庄平/株式会社シロクロ代表取締役。1979年2月福岡県生まれ。2003年、熊本にてデザイン事務所ナインデザインを共同設立。上京し、2010年に株式会社シロクロを設立。社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)正会員。